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Vol.06
「空気」の改善で生産性が10%も向上!?

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私たちは、 寝ているときも起きているときも、 絶えず呼吸をしています。

1日を通して取り入れている空気の量は、 一般的な成人男性の場合、 実に18kgにもあたるというのですから驚きですよね。


それだけ大量の空気を身体の中に取り入れているということは、 食べ物が身体をつくるように、 空気もまた、 私たちの身体に大きな影響を与えるということが容易に想像できるはずです。

 

食べ物に関しては、カロリーやタンパク質量といった栄養価を基準に、健康的な食事をコントロールすることができます。

今や、スーパーやコンビニで手に入る食品、レストランや喫茶店で提供される料理など、栄養価を明記してある食べ物を目にする機会は非常に多いですよね。

 

一方で、空気についてはどうでしょうか。

健康的な空気であるかどうかを判断するためには、いったいどのような指標を使えばよいのでしょう。

 

実は、室内における空気の質を測る指標として「空気質(IAQ: Indoor Air Quality)」というものがあります。

 

今回は、空気質の定義や、空気質を改善することで得られるメリット、そして空気質を改善するための方法を解説します。

普段の生活にきっと役立つ情報ですので、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

空気質(IAQ)とは

 

「空気質(IAQ)」とは、 室内における空気の組成を表す言葉です。

たとえば以下のような指標で構成されています。

 

・温度

・湿度

・清浄度

・二酸化炭素濃度

・VOC濃度

・ホルムアルデヒド濃度

・PM2. 5濃度

 

空気質は、 室内での人々の活動や換気状況により大きく左右されます。

例えば、 空気質を悪化させる代表的な要因として、 たばこや調理の煙、 化学物質を含む製品の使用、 カビ等が挙げられます。

空気質の概念を理解し、 改善に向けた対策を講じることで、 健康で快適な生活空間を作りやすくなるでしょう。

 

空気質を改善するメリット

 

 

それでは、 空気質を改善すると、 いったいどのようなメリットがあるのでしょうか。

なんとなく、 気分が清々しくなったり、 心が睛れやかになったりしそうですよね。

 

しかし、 それだけではありません。

空気質をめぐっては、 海外を中心に様々な研究がおこなわれており、 空気質の改善が知的活動や健康面に好影響をもたらすことが証明されています。

ここからは、海外での研究結果を交えて、空気質改善によってもたらされる具体的なメリットを紹介していきます。

 

【メリット 1 】認知能力向上

 

清潔で新鮮な空気は、人間の脳の機能を最大限に引き出すことが可能です。

ハーバード公衆衛生大学院が2015年に実施した研究によると、良好な空気質が保たれたオフィスで勤務している人たちは、汚染物質が常に存在しているオフィスで勤務している人たちと比べると、約2倍もの認知機能を発揮できることが示されました。

つまり、仕事を行うえで重要な意思決定力や戦略的な思考など、高度な認知タスクのパフォーマンスが向上するということです。

 

(出典:https ://ehp. niehs. nih. gov/doi/10. 1289/ehp. 1510037

 

AIの発展がめざましい昨今、人間に求められることのうち大きなウェイトを占めるのは、的確な意思決定を迅速におこなうことです。

空気質が改善されることによって、意思決定に必要な脳のリソースを回復させやすくなり、良質な意思決定を起こせるようになると言えます。

 

【メリット 2】欠勤率の低下

 

空気質が良好に保たれていると、職場や学校での欠勤率も改善されるでしょう。

これは、換気が十分行われていて空気が良質だと、飛沫や空気中の病原体による病気のリスクが低減できる可能性が高いためです。

カナダ国立評議会(NRC)が2004年に発表した研究によると、従業員の病気や体調不良による欠勤のうち、約3分の1は空気質の低下に起因していることがわかりました。

 

(出典:https://doi.org/10.4224/20377787 )

 

 

同様に、ハーバー ド公衆衛生大学院が2000年に発表したアメリカの大手企業に勤める3720人の従業員を対象とした研究では、空気質の良いオフィスは、空気質の悪いオフィスと比較して、病気での欠勤が35%少ないというデータが出ています。

 

(出典: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11089326/

 

同じだけの業務遂行能力があるのであれば、より健康的に勤務できる期間が長いほど、高いアウトプットを出せるのは明らかです。

また、健康でいられるということは、プライベートを充実させやすくなることにもつながります。

プライベートが充実することで、従業員の幸福度は向上し、より意欲的に業務に取り組んでくれやすくなるでしょう。

 

【メリット3】生産性向上

 

空気質が良質だと、集中力が高まったり、疲労が軽減されたりと、仕事の生産性が全体的に向上することがわかっています。

2006年、デンマークエ科大学が当時実施されていた空気質に関する24個もの研究のメタ分析を実施したところ、空気質が悪いと、タイピング速度をはじめとする基礎的なビジネスパフォーマンスが10%も低下することがわかりました。

これは裏を返せば、空気質を良好な状態に保つことで、生産性が10%向上するということです。

 

(出典:https://www.researchgate.net/publication/344374247_REHVA_Guidebook_No_6_-_Indoor_Climate_and_Productivity_in_Offices_-_How_to_Integrate_Productivity_in_Life-Cycle_Cost_Analysis_of_Building_Services

 

タイピング速度などの基本的な作業は、デスクワークをするビジネスパーソンにとって、生産性の根幹を形成する極めて重要な要素です。

空気質を良好にすることで全社員の生産性のベースが10%向上すると考えると、空気質の改善に投資するのは極めて合理的な判断だということがわかります。

 

ここまで、空気質を改善することのメリットを3つご紹介してきました。

いずれも、仕事を通じて高い付加価値を生み出すために大いに寄与する要素だと言えます。

それでは、いったいどのようにすれば空気質を改善できるのでしょうか。

この記事の締めくくりとして、空気質改善のための具体的なアクションプランをご提示したいと思います。

 

空気質を改善する方法

 

 

空気質を改善するためには、以下のようなアクションが考えられます。

 

・定期的な換気

・空気清浄機の使用

・室内植物の設置

・化学物質を含む製品の使用量削減

・室内禁煙化

 

定期的な換気や空気清浄機の導入を通じて新鮮な空気を室内に取り込むことは、空気質改善のために手っ取り早く実践できるアクションです。

化学物質やタバコの煙といった、空気質を悪化させる元を絶つことも、非常に重要です。

しかし、これらのアクションを取っても、実際にどれだけ空気質が改善されたのかを実感するのは難しいものです。

せっかくアクションを起こしても、それがいったいどれだけの効果につながっているのかがわからなければ、PDCAを回すことができません。

 

また、継続的に行動を起こしていくモチベーションも湧きにくくなってしまうでしょう。

 

そこでオススメしたいのが、高機能センシングユニット「KANARIA(カナリア)」です。

カナリアは、CO2、湿度、温度、VOC、PM2.5などの主要な空気質指標を測定できるモニタリング装置で、米国発の建物やオフィスなどにおける人々の健康とウェルビーイングに焦点を合わせた性能評価システムである「WELL認証」の性能要件を満たすデバイスとして認定されています。

 

カナリアを部屋に置くことで、空気質の指標をいつでもリアルタイムに確認でき、空気質が悪化したときに通知を受け取ることが可能です。

 

空気質の改善によって日々の生産性や健康に好影響がおよべば、その後の生活において驚くほどのレバレッジをかけられます。

 

ご興味のある方はぜひ、以下のリンクから、カナリアの詳細情報をチェックしてみてください。

 

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