仕事におけるストレスは、職場環境における重要な問題であり、従業員と会社の両方に多大な影響を及ぼす。仕事場のストレスをいかに軽減するかは、経営者と従業員の双方にとって重要な課題であり、会社の業績やブランドにも影響を及ぼす可能性があるだろう。仕事場は、長時間を過ごす場所である以上、住環境と同様に快適さが求められる。昔は仕事場で喫煙ができたところが多かったのだが、現代の職場ではとても考えらないことである。
仕事場を快適にして、従業員の仕事効率(=生産性)を上げるために重要な要素の1つが、匂いだ。匂いは目に見えないため、対策をつい後回しにしてしまうが、マスクをしていても防ぐことが難しい場合もあり、従業員への影響は想像以上に大きい。匂いに関する問題では、悪臭を防ぐことと、良い香りを与えることの2通りの対策があるが、ここでは、後者の良い香りをもたらすアロマセラピーの科学的な効果を取り上げよう。
山梨県立大学の研究グループは、休憩中に香りにさらされることが、作業パフォーマンスにどう影響するかを調べた(1)。この研究では、36人の健康な男子学生を、以下の3つのグループに分けて実験を行った。
(1)コントロールグループ(香りなし)
(2)ジャスミングループ(ジャスミンの香り)
(3)ラベンダーグループ(ラベンダーの香り)
実験の概要としては、全員が60分間の作業を5回こなし、各セッションの間に30分間の休憩を挟んだ。香りはジャスミンやラベンダーのエッセンシャルオイルから蒸発法で作られたものが使用された。
各休憩室は、一定の温度が保たれた状態で、作業における集中力が最も低い午後の時間帯に実験を行ったところ、コントロールグループと比較して、ラベンダーグループでは集中度が有意に高かったことがわかった。しかし、ジャスミングループではそのような効果は見られなかった。ラベンダーの香りは鎮静作用があるが、疲労がたまった後の休憩において使用することで、午後の作業セッションでのパフォーマンス低下を防いだ可能性があると考えられる。
ラベンダーには、女性特有の不調を改善する効果も知られている。ブラジルの大学の研究グループは、不眠症の症状がある閉経後の女性に対して、ラベンダー精油の吸入による睡眠および更年期症状に及ぼす効果を調べた(2)。その結果、ラベンダーの吸入によって、全体的な寝つきの向上やうつ病レベルの低下、更年期症状の有意な減少をもたらすなど、睡眠のパターンと質が向上した。この研究グループは、医学的な治療に対する補助的な選択肢として、ラベンダーのエッセンシャルオイルを用いたアロマセラピーを推奨している。
さらに最近では、バーチャルリアリティ(VR)と香りを組み合わせる試みも進められている。VRはヘッドマウントディスプレイを装着して、ユーザーに対してより現実に近い視覚体験を提供することができるもので、これまでは主にゲームを中心に使用されてきたが、最近では職場での研修や医療機関での治療など、様々な分野での利用にも積極的な動きが見られている。イタリアの研究グループは、42人の参加者を対象として、仮想現実で行われた電車の旅を通じた日常の経験において、レモンとラベンダーの香りの効果を検証した(3)。その結果、ラベンダーの香りによって、より効果的に認知リソース(脳が使用できる注意力や認知力のリソースのこと)を活用できることが示されたのだ。認知リソースには限りがあり、適切に配分して消費することにより、適切な判断ができると考えられおり、この研究成果は、ラベンダーの香りが、課題や仕事の実行と集中に肯定的な影響をもたらす有効な手段であることを意味する。
このように、ラベンダーをはじめとするアロマセラピーは、従来のリラックス効果を超えて、仕事の効率や日常生活の質を向上させる効果が期待されている。香りの研究は、検証実験の環境や被験者によってばらつきがあるが、今後も様々な研究が行われることで、職場環境の改善における科学的なエビデンスが蓄積していくと考えられる。
このように仕事の生産性向上やストレス緩和に寄与するアロマを、まずはご自身の好みや目的に合わせて、普段の仕事に取り入れてみてはいかがだろうか。
[参考文献]
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