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Vol.03
アロマオイルの香りは気分をポジティブにし、テレワークのストレスを緩和する

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中国・武漢に端を発した新型コロナウイルスのパンデミックは我々のライフスタイルに大きな影響を与えた。特に、ステイホームが推奨された結果、テレワークを強いられ、ストレスを抱えていらっしゃる方も多いことだろう。東京都が2022年4月に都内にある従業員30人以上の企業を対象におこなった調査によると、これらの企業におけるテレワークの実施率は52.1%に上るという。

 

このような状況下では、どのようにしてテレワーク下のストレスを緩和し、仕事の効率を上げればよいのだろうか?

 

この点について、関西学院大学とアットアロマ株式会社の共同研究グループがおこなった興味深い実験があるのでご紹介したい。共同研究グループによれば、アロマオイルの香りを活用することで、気分をポジティブにし、テレワーク下のストレスを緩和することができるという。

 

では、さっそくその実験の内容をみていくことにしよう。なお、この実験は2020年9月10日に第22回日本感性工学会大会において報告されたものである。

 

実験は緊急事態宣言下の5月17日から5月24日にかけておこなわれた。参加したのは30代から40代の男女30名だ。男性15名、女性15名、平均年齢は39.4歳になる。実験では、在宅中、参加者に、ディフューザーを身近に置いてもらい、ストレスを感じたときなどに、アロマオイルを使ってもらった。アロマオイルは4種類の中から1つを自由に選んで使ってもらったが、その際には商品名が参加者に解らないようにした。なお、ディフューザーとは、アロマオイルから香りを発生させ拡散させる装置のことだ。

 

表1:実験で使われた4種類のアロマオイルの原料
原料
アロマオイル①
オレンジ、ジャスミン、タンジェリン、ゼラニウム、マンダリン etc.
アロマオイル②
ローズマリー、ティートリー、レモン、ブルーサイプレス etc.
アロマオイル③
カモミール、スパイクラベンダー、ラベンダー、ベルガモット etc.
アロマオイル④
サイプレス、クローブ、ロサリナ、ネロリナ、ユーカリ etc.

 

参加者には、直前の時間帯に使ったアロマオイルの種類、使った時刻、使った状況、使ったときの気分、使ったときに期待した効果、使用前後の気分(二次元気分尺度(TDM-ST))などを毎日、9時・12時・15時・18時・21時の5回、アンケートにて答えてもらった。

 

すると、次のような興味深いことが解った。

【アロマオイル使用前後における気分量の変化。男女間に有意差が認められた(* p<.05, ** p<.01)。:関西学院大学のプレスリリースより引用】

 

まず、ストレス解消のためにアロマオイルを使用したのは全体の62%であり、高い割合でアロマオイルが使われたことが分かった。そして、4種類のアロマオイルの全てについて、気分をポジティブにし、ストレスを緩和する効果が認められた。この効果は、男性よりも女性の方が高く、特に在宅で育児と仕事をこなす女性において最も高かった。仕事のみにストレスを抱えた男性6名のグループについても同様の効果が認められた。

 

新型コロナウイルスのパンデミックもようやく収束が視野に入ってきた。しかし、政府が推し進める働き方改革の流れなどもあり、今後、テレワークは一定の割合で定着していくと考えられている。

 

テレワークで仕事に集中するのはなかなか難しいものだが、アロマオイルを積極的に活用して、ストレスを緩和し、仕事の効率を高めてみてはいかがだろうか。

 

[参考文献]

2020年9月16日 関西学院大学のプレスリリース

2020年9月16日 アットアロマ株式会社のプレスリリース

2022年5月16日 東京都テレワーク実施率調査

 

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