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Vol.13
チョコレートに含まれるポリフェノールによる健康効果と美容効果について

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ポリフェノールは、植物由来の抗酸化物質であり、多くの健康効果があるとされている。果物、野菜、茶、赤ワイン、コーヒーなどに豊富に含まれており、その名の通り、特に抗酸化作用が注目されている。

 

抗酸化作用とは、体内で発生する活性酸素を抑え、細胞の酸化を防ぐ働きである。これにより、老化の進行を遅らせる効果が期待されるほか、動脈硬化や心血管疾患、がんの予防に寄与する可能性が示唆されている。

 

また、ポリフェノールには抗炎症作用や血糖値の上昇を抑える効果も報告されている。

 

例えば、緑茶に含まれるカテキンは、脂肪の吸収を抑える働きがあり、ダイエット効果やメタボリックシンドロームの予防にも寄与すると考えられている。さらに、赤ワインに含まれるレスベラトロールは、心臓病のリスクを低減する可能性があることが研究で示されている。

 

 

 

 

そんなポリフェノールだが、自然食品から摂取することが意外に難しいことはご存知だろうか。数ある食品の中で、比較的効率よくポリフェノールを摂取でき、かつ身近な食べ物として注目を浴びているのがチョコレートだ。

 

チョコレート、特にダークチョコレートには、カカオ豆由来のポリフェノールが豊富に含まれており、ダークチョコレートに含まれるフラバノールと呼ばれる天然ポリフェノールの一種は、血管を拡張し、血流を改善する作用があるため、血圧を下げる効果があることが研究で示されている。

 

さらに、フラバノールは脳への血流も促進するため、認知機能の向上や、ストレス軽減に寄与する可能性もあり、最近の研究からは、海馬に依存する記憶にも良い効果をもたらすことも示唆されている。(1)

 

そして、このポリフェノールは、美容にも多くの効果をもたらすことで知られており、特に、カカオに豊富に含まれるフラバノールは、強力な抗酸化作用を持ち、肌の老化を引き起こす活性酸素を抑制することが知られている。これにより、肌細胞の酸化を防ぎ、シワやたるみなどのエイジングサインを軽減する効果が期待されるほか、血行促進の作用により、肌に十分な酸素や栄養を届けることで、肌の健康状態を改善にも役立つとされている。

 

 

 

 

チョコレートに含まれるフラバノールによる皮膚の保護効果も明らかになってきている。

 

カナダの研究グループは、12週間にわたり高フラバノールチョコレートを摂取するグループと低フラバノールチョコレートを摂取するグループを分け、その効果を調べた。(2)被験者は1日3回、各回10 gのチョコレートを摂取し、12週間の摂取を行なった。

 

この研究では高フラバノール摂取グループと低フラバノール摂取グループの皮膚の感受性や弾力性、水分量などが評価された。

 

その結果、皮膚の紫外線に対する感受性や水分量には有意な変化は見られなかったものの、皮膚の弾力性については、高フラバノールチョコレートを摂取したグループに、有意な増加傾向が見られた。また、高フラバノールの効果の一部は、摂取を止めた後もしばらくは持続することが示唆されている。

 

このほかにも、フラバノールの抗炎症および抗酸化活性が、有害な紫外線から肌を保護する役割を果たしているという報告もある。(3)

 

また、チョコレートには心血管代謝への健康促進効果に加えて仕事のパフォーマンスの向上にも寄与すると臨床試験で報告されており、これはフラバノールに起因する可能性があるとされている。(2)

 

 

 

 

以上の通り、これまでの研究から、フラバノールを多く含む「高フラバノールチョコレート」の摂取が、皮膚の健康を向上させるなど、様々な健康効果をもたらす可能性が示唆されている。

 

従来の日焼け止めなどと併用することで、これらの効果がさらに皮膚の保護に役立つと考えらえる。

 

一方で、肌への有益な効果があるとされるチョコレートも食べ過ぎには気を付けたいところだ。多量の糖分を含むほか、添加物が多く使用されている場合もあるため、習慣的に食べる際には原材料のチェックは重要である。

 

また、チョコレートの大量摂取は皮脂の分泌に影響を与えず、ニキビに影響しないという研究成果もあれば、チョコレートに含まれるフラボノイドがサイトカイン(細胞から分泌される生理活性物質)の生成を介し、炎症を増加させてニキビを悪化させるという研究成果もある。このため、適切な量のチョコレートを摂取することが肝要である。(3)

 

今後もチョコレートの消費量は世界的に増加し続け、機能性食品としての側面からもますます注目を浴びると考えられる。本コラムで着目したフラバノールの役割のほか、チョコレートの摂取が健康増進にもたらす効果については、今後さらなる解明が期待されるところだ。

 

 

[参考文献]

(1)[論文]Brickman AM, Yeung LK, Alschuler DM, Ottaviani JI, Kuhnle GGC, Sloan RP, Luttmann-Gibson H, Copeland T, Schroeter H, Sesso HD, Manson JE, Wall M, Small SA. Dietary flavanols restore hippocampal-dependent memory in older adults with lower diet quality and lower habitual flavanol consumption. Proc Natl Acad Sci U S A. 2023 Jun 6;120(23):e2216932120. doi: 10.1073/pnas.2216932120.

(2)[論文]Mogollon et al. (2014). Chocolate flavanols and skin photoprotection: a parallel, double-blind, randomized clinical trial. Nutrition Journal, 13, 66

(3)[論文]Sadhasivamohan A, Karthikeyan K. (2022) Chocolate and Skin: The Impact of an Insatiable Indulgence. Indian Dermatol Online J. 21;13(6):806-809. doi: 10.4103/idoj.idoj_238_22. 

 


 

 

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